2002/05/27

5月27日(月)

 なんだか妙に懐かしい人物の夢を見ていた。

 あまりの懐かしさに、涙を流しながら、おうおう久し振り、と肩を叩いていた。

 だが、目を覚ました途端に、それが誰だったのかすっぱりと忘れてしまった。いや、むしろ面識のない他人に対して懐かしい懐かしいとやっていたような気がする。いったい、アレは何だったのだろうか。

 ボロアパートのドアを蹴飛ばすように開け放って外へ出ると、今にもドバーっと来そうな怪しい天気。重く垂れ込める雲に、夏の気配が含まれている。

 そうだ、もうじき5月が終り、夏の前座の梅雨がやって来る。客足の遠のく季節だ。なのに俺は、何の備えもしていないぞ。天気ならばその内晴れるという事も言えるが、こと商売の場合は勝手が違う。厚い雲の向こうに必ずしもお天道様が待っているとは限らない。

 空を見上げている内に心細くなってきた。自分が目指しているものは、ただの蜃気楼なのかも知れない。

 このところ、じゃんくますさんの日記で、耳の話がよく出てくる。ご存知ない方の為にかいつまんで説明すると、じゃんくまうすさんのご店主が長年の難聴に耐えかねて、耳鼻科に行って鼓膜の奥に溜まっている水を抜いたという話なのである。

 早い話が、中耳炎。よく聞く病名なので、大した事がないように思えるが、どうしてどうして、結構な難病なのだ。鼓膜を切って細い管で水を抜くのだが、なんせ目視の効かない手術なので、掃除機でゴミを吸うように、綺麗に仕事を完了できっこないのである。

 つまり、多かれ少なかれ水が残っているのである。

 本当は、徹底的に水を抜ききってしまえればよいのだが、患者にしてみれば、手術の激痛から一刻も早く開放されたいのと、それまで聞こえなかったものが多少聞こえるようになった事で、

 「もう大丈夫です。よく聞こえます」と言ってしまいがちなのだ。その為手術が半端に終り、数ヵ月後の再発に及ぶ。

 何故自分がこんな話を知っているのかというと、なにを隠そう自分自身が5年もの長きに渡って同じ病を患っていたから。

 自分の場合は、仮面ライダーの改造手術にも匹敵する激痛を伴う手術に耐え抜いて、

「まだよく聞こえない。もっとスカッと抜いてくれ」とうるさく注文し、医者もそれによく応えてくれたが、それでもこの病は再発してしまうのだ。

 もちろん体質もあるのだが、多分じゃんくまうすさんも再発してしまうと思われる。何も根拠はないが、そう思う。思うことで、癒されることもある。

 もし再発したら、その日を「再発記念日」として、当店では一週間の一割引セールに突入する。

 グチュグチュ
 耳の奥で怪しい音
 君の声が遠くなる
 キーンキーン
 ゴソゴソ
 管が入るよ
 お医者さんが
 ニヤニヤ
 ポロポロ
 僕は涙で言ってみる
 「今日は私の再発記念日」

 さて、人様の健康を揶揄している場合じゃない。現在、当店は文字通り土俵際に立たされている。トク俵の上でラインダンスを踊っている。

 と書くと、要らぬ心配をかけるから、物事は正確に伝えなければナリマセン。まあ、何とかなってはいるのだが、それ以上の事が何もないというのが実情。 

 一年前の今頃は、一日あたりの売上が目論見どおりに上がっていて、気分的には更なる飛躍とバハマの別荘を約束されたような気になっていた。

 それがいつしか、「月々の家賃が出ればよし」になり、「明日の飯が食えればよし」になり、とうとう今では「今夜の飯が食えればよし」になってしまった。売上が落ち込んだ、と考えるよりは、志が落ち込んだと考えた方が正解か。

 その低い志に見合った仕事しかしていないように思う。なのでここは一つ、ふんどしを締めなおす意味で、ドカンと広告でも打ってみようかと考えている。

 もっともその為には、先立つ物が必要なのだが。 その先立つ物を得ようとして、今は必死にオークションに出品している。前には、「優良在庫を蓄える為」としていたが、今ではその手続きに多少の変更が出ている。全く申し訳無い。だが、(言い訳がましいようで恐縮だが)優良在庫の方も、着々と増えてはいるので、まだ見捨てないで下さい。

 とまぁ、かように不様な事情があるため、今日は一日中出品作業をしていた。幸か不幸か、作業を止められる程お客さんも来なかった。

 午後に降った雷雨の影響もあるのだろう。夕方までの来店者数は僅かに6人。

なんだか寂しいねぇ。もっと来てもいいんだよ、と言ったって、詮無き事か。

本日の売上=5550円(10人)
内訳(
少年漫画?4700円、
一般書(小説等)?150円、
雑誌?700円)
買取=2870円(4人)
現金残高=2680円
来客数16人
レジ打ち10人
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2002/05/20

5月20日(月)

 午前11時に目覚し時計が鳴ったところまでは覚えているのだが、その後がどうにも思い出せない。

 が、思い出せなくったって、結果が全てを物語っている。またやってしまった、大寝坊。なんとびっくり午後1時半起床。

 昨夜、遅くまで先輩の「本曜日」さんと愚痴のこぼし合いをして、ボロアパートに辿り着いたのが午前2時だった。

 そんなに遅かったのだから、すぐに寝てしまえばよかったものを、そこから先日借りたビデオ(松田優作の「俺たちに墓はない」)を観て、更にその後、小1時間もギターなど弾いてしまい、ようやく床に就いたのが午前5時だったか?

 仕事で憂鬱になった脳みその切り替えに、最近では映画鑑賞を用いている。それはまあ良いとしても、問題なのは、それがその日のサイクルにあっているのかどうかと言う事。

 もうじき35歳なんだから、そのくらいの事は判断できるようにならないと・・・。

 という訳で、本日の開店は午後2時からと相成った。いくらなんでもこりゃヒドイ。売上云々以前の話だね。

 午後四時半、Oさん来店。とにかく、毎日来る。よくもまぁ、と最初の内は軽く思っていたが、こうまで続くといい加減迷惑だ。5分や10分程度ならば別になんとも思わないが、軽く2時間は居座ってしまう。

 「なんか面白い本は入ったか?」と言われても、そう毎日毎日面白い本なんか入るはずがないし、しかも、好みの本が特殊だから尚更だ。

 その上、煙草をパカパカ吸うので、店内が煙くなってしまう。自分も煙草を吸うので余り強くも言えないが、それだって限度と言う物がある。

 Oさんの吸い方は、いわゆる「チェーンスモーク」だから、同じ煙草好きから見ても眉をひそめさせるものがある。もう、殺されるのを覚悟でお断り願おうかと考えている。

 午後6時、変な電話がかかってきた。受話器を取るなり、ベタベタの仙台弁で、

 「ざっすのながさはアダルトへってんのが?」
 (訳「雑誌の中にはアダルトが入っているのか?」)ときた。しかも、耳をつんざくような大声。

 一体、この男は何を考えているのだ。全然意味が解らないじゃないか。俺も長いことロックンロールやっているけど、こんなにストレートなヤツ、珍しいぞ。

 自分から電話をかけて、名も名乗らずに、いきなり自分の思った事を口にしている。いかにも知能指数が低い感じで、会話をすることすらはばかられるようなタイプ。

 思わず、

 「お前、何言ってんの?誰なの?」と返した。

 すると、こちらの質問など、まるで意に介さないと言った感じで、

 「んだがら、かいであるやづでや、ざっすのながさアダルトへってんのがって」
 (訳「だから、書いているもので、雑誌の中にアダルトは入っているのかと」)と、更に声を荒げてきた。

 恐らく、この日記を読んで、名細部の「雑誌」の売上の中にはアダルトが含まれているのかどうかが気になったものと思われる。

 だが、名も名乗らず、挨拶もしないようなヤツに、懇切丁寧に応対する必要などサラサラない。こういう場合は、キチガイとみなすことにしている。

 当然、質問に答える意思もないが、名前くらいは(話の種に)聞いておきたい。だが、こちらが名を問いただしたら、プッツリと電話を切ってしまった。

 うーむ。そういえば、週に2・3度、無言電話をかけてくるヤツがいるが、犯人はこいつか?ちょっと感じが違う気もするが、結局は似たタイプのヤツなんだろう。

 大体にして、この日記をキチンと読んでいたら、あの明細にアダルトが含まれているのかどうか、おおよそ察しがつこうというものだろうに・・・。

 多分、最後の売上明細のところしか見ていないんだろうね。また電話をかけてよこされるのも迷惑だから、ヒントだけ与えようか。

 今月、これまでのアダルトの総売上は4200円也。

 7時半、Iさん来店。このところ、釣り関係や戦記物の本を持ってきてくれる。元バスプロ(ブラックバス釣りのプロ)なので、濃い本が多い。当店のマニアックコーナーが、更に濃さを増して行く。

 Iさんには時々本を貸してもらう。先日貸してもらったのは、斐太猪之介(ひだいのすけ)の「幻の動物記」。昭和48年に1500部だけ発行された稀覯本なのだが、これが面白い面白い。

 全部で4章からなる野生動物のレポートで、ニホンオオカミを始めとする様々な生き物の生態を描いている。本当はアパートに持って帰ってゆっくり読みたいのだけれど、何か間違いがあるといけないから、カウンターの中で、接客に煩わされながらチビチビと読んでいる。

 正直な話、この本を読み終えるまでは、店なんかやってられない。お客さんの顔も見たくない。

 無論、日記なぞ何をかいわんや。

本日の売上=9550円(15人)
内訳(
少年漫画?3800円、
少女漫画?1050円、
一般書(小説等)?2000円、
雑誌?2700円)
買取=13890円(5人)
現金残高=?4340円
来客数25人
レジ打ち15人
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2002/05/13

5月13日(月)

 鉛のように重たい夢から覚めて、カーテンの隙間から空を見上げると、昨日同様の曇り空。心なしか気温も低いように感じる。

 こういう日は、お客さんもあまり来ない事になっている。故に自分にとっては仕事に打ち込める大切な日となる。

 と、解っているつもりなのに、毎度毎度無駄に過ごしている。先週だって、同じような日があったのに、結局は何もせずにいたため、カウンターの上は買取った本がそのまま山積みになっている。

 今日こそは、あの山をやっつけてやろうと心に決めて出勤。

 店に着いて、まずはメールチェック。時々注文があったりするから、オロソカに出来ない。オロソカには出来ないけれど、十中八九オソマツな結果になるから哀しい。

 今日も何事も無し。うちの場合、HPでは漫画よりも写真集を中心にしているので、こちらが売れない事にはHPの存在意義が日記のみになってしまう。

 続いて、「じゃんくまうす」さんの日記を読む。

 こちらは毎日注文が入っている様子。在庫が豊富な「じゃんくまうす」さんは、毎日のように更新しているので、売れるのもムベなるかなといった感じ。

 振り返って考えれば、殆ど更新しないうちのHPがロクに売れないのもまたムベなるかなというところ。

 「じゃんくまうす」さんの日記を読んでいて、一つ重要なモノを忘れている事に気がついた。「アイナメ書房」さんのアンケートに答えるのをすっかり忘れていた。

 確か、先だってこの件で話をした際に、「遅くとも10日まで」と言われていたぞ。然るに今は13日。もう3日も締め切りを過ぎている。えらいこっちゃ、と慌てて過去のメールを探る。

 と、あったあった、あったぞ。有象無象の広告メールに隠れるようにして、「個別質問」のメールが。

 早速内容の検討に入るが、前に考えていた回答がどうしても思い出せない。小一時間ほどジリジリしつつ考えていたが、一向に埒があかない。で、大変申し訳無いが、「今現在思う事」を基準にして回答をさせていただいた。

 それでも、全て書き終えたのが午後6時過ぎ。延々4時間もかかった事になる。それだけ時間がかかったわりには、ブザマなくらい「やっつけ」な回答になってしまった。

 この時点で、本日の来客者数は何と3人。最後にお客さんが来たのは3時だったか?その3人目の保険屋のSさんは、前の勤め以来の付き合いなのだが、たまに来ては時間潰しをして行く。

 今日も30分ばかり雑談をしていったのだが、「前に頼んだ本がまだ入らない」とプリプリしていた。

 見た目は若いSさんも、実は自分と同い年の34歳。しかも1児の母。いい加減、漫画ごときでプリプリするのはよしなさい。

 Sさんがプリプリと店を出て行った後は、そこはかとなく来客があったが、8時を前にぴたりと止まった。すわや、とばかりにカウンターの山に取り掛かろうとしたが、程無くいつものOさんが来店。

 実を言うと、このところ夕方あたりから頭痛がして、金土日と午後7時半までの営業としていたため、Oさんは何度か空振りをしたらしい。

 1時から7時半までの、僅か6時間半ばかりの営業時間なんてとんでもない話だが、自分の場合、何をするのもこの身が全てだから必要以上に自愛をしなくてはならない。

 という、我が身可愛さの勝手な理屈の犠牲になったOさんは、さぞやお怒りの事かと思いきや、いつもと変わらぬ愛嬌ぶり。

 ホッとするねぇ。さて、今日はナニをゲロしてくれるのか。軽い頭痛を堪えつつ、10時まで。

 で、結局は本日もカウンターの山は殆ど手付かずとなる。ここが解決されないという事は、すなわち店の棚がスカスカのままなので、現在当店は非常にみっともない状態になっている。

 もともと品揃えが三流なところへ持ってきて、棚がガランとしていてはお話にならない。せめて本は隙間無くきっちりと入れておかないと。

 さて、突然申し訳無いが、また頭痛が酷くなってきた。前回の日記が、非常に出来が悪かったので、今回は密かに心に期するところがあったのだけれど、どうやらそれも反古になりそうです。

 こんなに短い日記で申し訳無いが、次回はちゃんとしたものを書くつもりなので、どうかご容赦の程を。

本日の売上=6390円(13人)
内訳(
少年漫画?2130円、
少女漫画?700円、
一般書(小説等)?2500円、
雑誌?1060円)
買取=840円(1人)
現金残高=5550円
来客数19人レジ打ち13人
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2002/05/06

5月6日(月)

 ゴールデンウィーク正真正銘の最終日。最後の休日を謳歌せよとばかりに空は綺麗に晴れ上がり、風もカラリと澄んでいる。

 自分の車も、なかなか店に行きたがらない。かといって、今日ばかりはハンドルの赴くままに車を走らせるわけには行かない。なぜかと言うと、つい昨日それに近い事をしたばかりだから。

 別にサボったわけではなく、オ?クションの発送作業が一気に集中した為、やむなくそちらを優先し、営業が午後4時からになってしまったのだ。

 こちらとしては連休明けに近くの郵便局からまとめて発送したかったのだが、落札者からの入金報告が相次ぎ、そうそう放っておく訳にも行かなくなった。

 実際には、連休明けに発送したところで何ら問題は無かったのだろうが、落札者の気持ちになってみると一刻も早くシナモノを手にしたいだろうし、また入金報告の文面もそれを暗に要求している。それならばとっとと発送してしまった方が、こちらも気分的に楽になる。

 何かを背負ったまま土日二日間の営業は自分の性に合わない。休日に窓口業務を行っている郵便局までは車でおおよそ10分かかり、その間、店はもぬけの殻になるのが気になるトコロなのだが、それならば始めから営業なんかしなければいい。

 全ての梱包には大体3時間くらいかかるが、ここは数時間を棒に振ってでも、余計な荷物を降ろしておくべきだ。そう判断して、全ての作業を終えてから、イザ営業と相成った。その時に時計を見たら午後4時だったと言うわけだ。

 なんだか、オークションも面倒くさくなってきた。HPでの販売と違い、メール交換の数が半端じゃない。その上、「評価」などと取引が終わった後も細かい作業に忙殺される。

 大体にして、あの「評価」ってヤツは何だ。あんな物があるから、それを盾に揺さぶりをかけてくるヤツがいるじゃないか。

 入金確認が3日ばかり遅れただけで、いちいち文句をたれてくるヤツがいる。こちらはその前に発送報告をしているわけだし、しかも連休中に記帳なんかできるものか。

 ただ、今はHP用の商品を揃える為の資金をオークションで稼いでいるので、面倒だからヤメルとも言っていられないのが厳しいトコロだね。

 さて、昨日の件があって、今日は開店時から「昨日来たけどやっていなかった」という苦情を持ち込むお客さんが多かった。それで、持ち込むのが苦情だけではなく、大量の本も同時に持ち込まれた。

 先週の日記でもおおよその予測は立てていたが、実情はこちらの想像をはるかに越える大量の買取と相成った。

 悪い事に、先週作っておいたスペースは、この一週間の間にほぼ埋め尽くされていて、にっちもさっちも行かない。さらに、こういう日に限ってしばらく振りに来店するお客さんが相次いだものだから、もう大変。毎日こうならそりゃ嬉しいのにね。

 閉店間際に、いつものOさんが来店。いつも思うのだが、Oさんの話の中に出てくる人々の多くが、すでに故人となっているのは何故なんだろう。

 「いやー、あの野郎は面白い野郎だったよ。もう死んじゃったけどね」

 こういう台詞が非常に多いのだ。何故死んだのか、と問うと、Oさんは口をつぐむ。

 「うーん、・・・いや・・・。・・・なんでだろうね。・・・わかんない」

 三億円事件、グリコ・森永事件、朝日新聞襲撃事件等、真相が解らないまま時効になった事件は数多い。

 それらの全てが、恐らく実行犯本人が口を割らない限り真相解明はなされないのだろう。

 ・・・今日はここまで。

本日の売上=15260円(27人)
内訳(
少年漫画?6610円、
少女漫画?2400円、
一般書(小説等)?1250円、
雑誌?3000円、
プレミア?2000円)
買取=20810円(12人)
現金残高=?5550円
来客数不明レジ打ち27人
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