12月30日(月)
朝一番、店のシャッターを上げた途端、ウンザリするような光景にぶち当たった。大きなダンボール箱が捨ててある。開けて見ずとも、中には不要本が入っている事ぐらいすぐに解る。
以前はたまにあったのだが、このところすっかり無くなっていたので安心していたのに、またもやられてしまった。世の中には古本屋をゴミ処分場か何かと勘違いしている人間がまだまだ多い。
おそらく昨日今日あたりに大掃除でもして、不要な本や新聞紙が大量に出てしまったということなのだろう。それで、細かく分類して捨てたり売ったりするのが面倒くさいから、近所の古本屋にでも置き捨てておけば、何とかしてくれるだろうと考えたのだろう。
まったく、顔が見たいもんだ。と憤りを露にしつつ中を見た。と、いきなり目に飛び込んできたのが、太陽のマーク。あれ、サンコミじゃないか。そのマークを見た途端に、この箱を置いていかれた方のご尊顔をぜひ拝見したくなった。
見ると、全ての本が整然と詰め込まれていて、背表紙の一部が伺える。一見、かなり古い本の様子。突然、背筋に冷たいモノを感じ、やにわに上の数冊を取り出してみた。
うわー!雄叫びが、若林区上飯田1丁目界隈にコダマした。なんと、手に取った4冊が全部、平田弘史の「座頭一」だ。しかも帯付!いつの間にか俺は、たった今上げたばかりのシャッターを降ろしていた。
こんな現場を何処かの誰かに見つかったらエライコッチャ。
薄暗い店内で、次から次へと本を引っ張り出すと、出るわ出るわ、稀覯本の雨あられ。しかも底の方に行けば行くほどランクが上がって行く。足塚の「ユートペア」、永井豪の「4丁目が戦争です」、水木しげるの「妖記伝」、そしてなんと手塚治虫の「モーモーン山のあらし」。
おお!あの伝説の本の数々が!喜びと畏怖の念に打ち震えつつさらに底に進むと、なにやら茶封筒が一通、本に挟んであるのに気がついた。その本を取り出し(なぜかガロの創刊号だった)、茶封筒を抜き取った。
場面が場面だけに、本来ならば一番最後に内容を確認するところなのだが、何か気になって、封筒の中に指を突っ込んだ。指先にあたった紙片をやおら取り出すと、そこには筆で書かれたへたくそな文字で、
「500万円にせよ 闇の書店」とあった。
「闇の書店か!とうとう俺にも”その時”が来たか」
俺は奥歯をギリリと噛み締め、ついでに紙片もジミミと握り締めた。闇の書店からの闇指令。この密令を受けたものは、命を賭してでもその任務を遂行しなければならない。
死人が出るかもしれない・・・。そうだ、安易に動いては確実に死者が出る。慎重に計画を練り、冷静に行動しなければならない。俺は、血の上った頭をクールダウンすべく、煙草に火をつけた。
なるほど、これらの本をさばいて、500万円か。金額的には大きくとも、モノがモノだけに、その線は楽に越えてゆくだろう。そして、越えた分がこちらの取り分というわけだ。一体、どの位の利益を生み出せるのだろうか。俺は改めて本を眺めまわした。
うーむ。「座頭一」の帯付・・・。ム!座頭一?座頭一!?あれぇ!?ああ!ユートペアだ!足塚・F・不二雄Aってなんだよ。4丁目だって?妖記伝だシ!モーモーンかよ!(ガロだと思った本は、がぐち、だった)全部ニセモンじゃねーか!しかも中は白紙!奥付ばっか丁寧に書きやがって。こんなモン売れるわけねーだろ!売れるはずねーよ。
・・・売れないよなぁ・・・多分売れないよ・・・・・・・・・・・。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・待てよ・・・・・・・。どうせこれらを買うのはコレクターだよなぁ・・・・・。そうだ、コレクターは中なんか見ねーよ!背表紙さえ綺麗で、それっぽければ売れるんじゃねーか。そうだ、きっと売れる。・・・・だがしかし!自分で売るのはいかにもまずいよな。
そうか、同業者に流せばいいんだ。「本の舎(いえ)」でも騙して売りつけようか。いやぁ、でもあそこの店主はしっかり者だから、もっとズボラで騙し易い方がいい。となると、もう「本曜日」しかないだろう。
世間の噂では、あそこの店主は囲碁のやりすぎで廃人となり、もはや白いものと黒いものの区別したつけられなくなっていると聞いた。貯金はしこたま有りそうだし、それよりなにより俺が騙さずとも、いずれ誰かに騙されて、幸福を呼ぶ碁石なんか買わされてしまって、丸裸にされてしまうのだろう。だったら今のうちに俺の手で引導を渡してあげたほうが孝行ってもんだぁね。
ムハハハハ。来年は年頭からビッグ・ビジネスじゃん。
と、いうことで、今年最後の日記です。なんだか今年は悪態ばかりついていましたね。これでは、今まで世間でまことしやかにささやかれてきた「白い歯もまぶしい、素直で実直でクールな二枚目の好青年」という私のイメージが台無しです。
どうしてこんなことになってしまったのでしょうか。確かはじめの内は、その日にあった本当の事だけを書き記す筈だったのに、いつの間にか、昔と同じような大ウソ日記に成り下がってしまった。そのせいか、最近ではアクセス数も激減しているらしい(自分では確認していないので、ヨソの人に聞いている)。
店頭売りも「毎日が月曜日」状態だし、考えてみれば、このところは漫画本の更新もしていないから、ネットでの売上は殆どゼロに等しい。自分の場合、「一人食える分」だけしか眼中に無いから
1日一回のランキング投票お願いします。
以前はたまにあったのだが、このところすっかり無くなっていたので安心していたのに、またもやられてしまった。世の中には古本屋をゴミ処分場か何かと勘違いしている人間がまだまだ多い。
おそらく昨日今日あたりに大掃除でもして、不要な本や新聞紙が大量に出てしまったということなのだろう。それで、細かく分類して捨てたり売ったりするのが面倒くさいから、近所の古本屋にでも置き捨てておけば、何とかしてくれるだろうと考えたのだろう。
まったく、顔が見たいもんだ。と憤りを露にしつつ中を見た。と、いきなり目に飛び込んできたのが、太陽のマーク。あれ、サンコミじゃないか。そのマークを見た途端に、この箱を置いていかれた方のご尊顔をぜひ拝見したくなった。
見ると、全ての本が整然と詰め込まれていて、背表紙の一部が伺える。一見、かなり古い本の様子。突然、背筋に冷たいモノを感じ、やにわに上の数冊を取り出してみた。
うわー!雄叫びが、若林区上飯田1丁目界隈にコダマした。なんと、手に取った4冊が全部、平田弘史の「座頭一」だ。しかも帯付!いつの間にか俺は、たった今上げたばかりのシャッターを降ろしていた。
こんな現場を何処かの誰かに見つかったらエライコッチャ。
薄暗い店内で、次から次へと本を引っ張り出すと、出るわ出るわ、稀覯本の雨あられ。しかも底の方に行けば行くほどランクが上がって行く。足塚の「ユートペア」、永井豪の「4丁目が戦争です」、水木しげるの「妖記伝」、そしてなんと手塚治虫の「モーモーン山のあらし」。
おお!あの伝説の本の数々が!喜びと畏怖の念に打ち震えつつさらに底に進むと、なにやら茶封筒が一通、本に挟んであるのに気がついた。その本を取り出し(なぜかガロの創刊号だった)、茶封筒を抜き取った。
場面が場面だけに、本来ならば一番最後に内容を確認するところなのだが、何か気になって、封筒の中に指を突っ込んだ。指先にあたった紙片をやおら取り出すと、そこには筆で書かれたへたくそな文字で、
「500万円にせよ 闇の書店」とあった。
「闇の書店か!とうとう俺にも”その時”が来たか」
俺は奥歯をギリリと噛み締め、ついでに紙片もジミミと握り締めた。闇の書店からの闇指令。この密令を受けたものは、命を賭してでもその任務を遂行しなければならない。
死人が出るかもしれない・・・。そうだ、安易に動いては確実に死者が出る。慎重に計画を練り、冷静に行動しなければならない。俺は、血の上った頭をクールダウンすべく、煙草に火をつけた。
なるほど、これらの本をさばいて、500万円か。金額的には大きくとも、モノがモノだけに、その線は楽に越えてゆくだろう。そして、越えた分がこちらの取り分というわけだ。一体、どの位の利益を生み出せるのだろうか。俺は改めて本を眺めまわした。
うーむ。「座頭一」の帯付・・・。ム!座頭一?座頭一!?あれぇ!?ああ!ユートペアだ!足塚・F・不二雄Aってなんだよ。4丁目だって?妖記伝だシ!モーモーンかよ!(ガロだと思った本は、がぐち、だった)全部ニセモンじゃねーか!しかも中は白紙!奥付ばっか丁寧に書きやがって。こんなモン売れるわけねーだろ!売れるはずねーよ。
・・・売れないよなぁ・・・多分売れないよ・・・・・・・・・・・。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・待てよ・・・・・・・。どうせこれらを買うのはコレクターだよなぁ・・・・・。そうだ、コレクターは中なんか見ねーよ!背表紙さえ綺麗で、それっぽければ売れるんじゃねーか。そうだ、きっと売れる。・・・・だがしかし!自分で売るのはいかにもまずいよな。
そうか、同業者に流せばいいんだ。「本の舎(いえ)」でも騙して売りつけようか。いやぁ、でもあそこの店主はしっかり者だから、もっとズボラで騙し易い方がいい。となると、もう「本曜日」しかないだろう。
世間の噂では、あそこの店主は囲碁のやりすぎで廃人となり、もはや白いものと黒いものの区別したつけられなくなっていると聞いた。貯金はしこたま有りそうだし、それよりなにより俺が騙さずとも、いずれ誰かに騙されて、幸福を呼ぶ碁石なんか買わされてしまって、丸裸にされてしまうのだろう。だったら今のうちに俺の手で引導を渡してあげたほうが孝行ってもんだぁね。
ムハハハハ。来年は年頭からビッグ・ビジネスじゃん。
と、いうことで、今年最後の日記です。なんだか今年は悪態ばかりついていましたね。これでは、今まで世間でまことしやかにささやかれてきた「白い歯もまぶしい、素直で実直でクールな二枚目の好青年」という私のイメージが台無しです。
どうしてこんなことになってしまったのでしょうか。確かはじめの内は、その日にあった本当の事だけを書き記す筈だったのに、いつの間にか、昔と同じような大ウソ日記に成り下がってしまった。そのせいか、最近ではアクセス数も激減しているらしい(自分では確認していないので、ヨソの人に聞いている)。
店頭売りも「毎日が月曜日」状態だし、考えてみれば、このところは漫画本の更新もしていないから、ネットでの売上は殆どゼロに等しい。自分の場合、「一人食える分」だけしか眼中に無いから
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